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PoE(Power over Ethernet)給電とは?PoE規格・仕組みについて

 近年から、IP電話、IPカメラ、無線アクセスポイントの普及に伴い、PoE(Power over Ethernetの略称、下記PoEと呼ぶ)は大きな進化を遂げました。IoTの活用、新たな通信規格及びそれに基づいて開発されるスマートデバイスなどの分野において、PoEの普及と発展は加速していくと予想されます。これから、PoEの定義、規格、タイプ、構成について詳しくご紹介します。

PoE給電ネットワークとは?

PoE/PoE給電とはイーサネットで利用されるケーブルを用いて、給電及びデータ伝送を行う技術のことです。PoEを利用することで、Cat5、Cat5e、Cat6、Cat6a(製品詳細)などのイーサネットケーブルを通してデーだ通信を行い、IPカメラ、IP電話、PoE照明器具、他の電気製品への給電をすることができます。電力設備やデバイスごとに給電ソケットを設置せずに、PoEを通して簡単に室内外にある電気製品に電力を供給することができます。

PoEを導入するメリットとは?

 便利だけではなく、PoEが普及する原因に繋がる他の要素を無視してはいけません。

時間・費用の節約:PoEを導入し、電気製品やデバイスへの電力供給システムと配線を布設せずにすむことにより、電気配線に必要なコストを削減することができました。特に電気製品やデバイスが複数台設置される場合、PoEに詳しい電気工事業者を雇用し、新たな給電システムを配置するのに必要な時間的・金銭的コストを省けます。

柔軟性:給電システムより、PoEイーサネットネットワークの構築のほうが簡単です。PoEの導入により、電気製品やデバイスへの給電に悩まずに好きな場所に設置することができます。従って、配線システムも通信端末もより高い柔軟性を備えうようになりました。

安定性:PoEを経由する電力は中枢から伝送してきたため、壁に設置される給電アダプタとは違い、UPS(無停電電源)でデータのバックアップを実行させたり、デバイスをリセットしたり、装置を無効化したりすることができます。そのため、PSE(Power Sourcing Equipment、給電側機器、下記PSEと呼ぶ)が故障しても、電気製品に大した影響を及ぼしません。

PoE標準規格について

IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子学会)、シスコ(Cisco )、企業連合HDBaseT AllianceはPoEに幾つかの標準規格を定義付けました。 それはIEEE 802.3af、IEEE 802.3at、IEEE 802.3bt、Cisco UPOE、そしてPoH(Power over HDBaseT)です。

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IEEE 802.3af(PoE):IEEE EEE 802.3af標準規格によると、イーサネットの伝送速度に影響を及ぼさないまま、最大15.4ワットの給電規格が定められました。10M/100M/1000M Ethernetでは、4対のツイストペアのうち2対をデータ通信用に使用し、残りの2対はPSEを通して給電を行う。

IEEE 802.3at(PoE+):基本的に、IEEE 802.3atはIEEE 802.3afのアップデートともいえます。IEEE 802.3afとの互換性が高い割に、電力の供給力をIEEE 802.3afの2倍以上、つまり30ワットぐらいに高めることができます。

IEEE 802.3bt(PoE++):最新のPoE規格としてのIEEE 802.3btは2.5G/5G/10GBイーサネットに対応し、4対のツイストペアを同時に給電に使用することができます。また、IEEE 802.3btによると、タイプ3とタイプ4という二種類のPoEが分類され、それぞれの最大電力供給力は60ワット、100ワットです。

Cisco UPOE:short for Universal Power Over Ethernet、略称UPOE。シスコによって開発された規格です。IEEE 802.3atより高い基準が定められ、4対のツイストペアのなか、いずれも60ワットの給電力を備え、幅広い電気製品に適応しています。

PoH(Power over HDBaseT ):IEEE 802.3atに基づき、企業連合HDBaseT Allianceによって開発されたPoH標準規格は4対のツイストペアイーサネットケーブルを通じて100ワットの電力供給を行うことができます。

PoE vs. PoE+ vs. PoE++ vs. UPoE vs. PoH

 PoEの標準規格は上記の通り、IEEE 802.3af、IEEE 802.3at(PoE++)、IEEE 802.3bt(PoE++)、UPOE、PoH、5つのタイプがあります。

 IEEE 802.3afを基準にするPoEは主にアンテナの付いた無線LANアクセスポイントIP電話などの低電力消費デバイス対応します。

 IEEE 802.3atを基準にするPoE+は通常六つのアンテナを利用する無線アクセスポイントに繋がり、複雑な監視・防犯カメラシステムの構築に対応します。

 PoE++とUPoEは共に最新のPoE給電技術と言われますが、基準にした標準規格が異なります。前者はIEEE 802.3btに基づくことに対して、後者はシスコによって開発されたUPOE規格に準ずります。両者どもはネットワークの給電力・回復力(レジリエンシ)を強化し、パソコン、テレビ、ビデオ会議システム、LEDライトなど消費電力の高いデバイスにも対応できるようにすることが目的です。

 PoEの機能に似ているPoHイーサネットケーブル一本で同時に電気信号とデータ信号を最大100米離れた場所まで伝送することができます。その低コスト・高効率を生かし、 PoHは主に空港、ホテル、病院、カフェテリアなどデジタル電子看板を利用する場所で使用され、AC(交流給電)アウトレットを設置せずに給電できます。

ネットワークにPoE機器を導入する方法

 ネットワーク内に給電機能をもつ機器はPoEスイッチ(商品詳細)、PoEインジェクタ、PoEスプリッタ、3つあります。導入時に一番手間のかからない方法として、PoEスイッチとPoE対応機器をイーサネットケーブルで繋げれば、PoE給電ネットワークの構築は完成です。PoEインジェクタも給電機能を備えています。内蔵電源のPoEインジェクタはPoE非対応のネットワークスイッチ(商品詳細)にPoE機能を追加し、通信しながら給電を行います。PoEスプリッタは内蔵電源をもち、データ通信と電源供給を分離する形で、交流電源の設置されていない場所にあるPoE非対応LAN機器に対して給電と通信を行います。

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